「認定ブッシュクラフター火おこしベーシック資格講座」
本日は、日本ブッシュクラフト協会との共催事業で「認定ブッシュクラフター 火おこしベーシック資格講座」が開催されました。朝の9時からスタートし、午前中は座学、午後からは屋外で実習、さらに認定試験と盛りだくさんの講座でした。平日にもかかわらず全国各地から20名を超える方々が集まりました。
黒川青少年野外活動センター所長野口と日本ブッシュクラフト協会代表理事の相馬さんのあいさつから始まり、すぐに座学のスタートです。座学の教科書は相馬さんの執筆した「ブッシュクラフト入門」です。この本の内容をもとにブッシュクラフトの基本的な考え方や用語、用具などを学習し、自然とどのように接していくのか内容濃く講義を受けます。
座学でたくさんのことを学んだら午後はいよいよ実習です。屋外に出て各自キットの用具を使いながら火おこしを学びます。地面に直火をする場合の火床(ほど)を作り、ファイヤースチールで火だねに着火、皆さんフムフムと火遊びにいそしんでいます。着火方法が理解できたら、次は薪に火をつける練習です。まずバトニングという方法で太い薪をナイフで小割にして焚きつけを作ります。さらに小割にした薪を削ってフェザーウッドを作り、より火がつけやすいようにナイフで細工をします。この段階に来ると受講生の皆さんはもう無我夢中で私語もなくもくもくと実習しています。
薪に火をつける練習をした後は、火打石で火をつけるときに火口となるチャークロスというものをつくります。チャークロスは簡単に言うと木綿布を缶で焼き、炭のようにしたものです。
そして、今回の講座では実際にセンターのどんぐり山に相馬さんも受講生の皆さんも分け入り、ナチュラルティンダーと言われる自然の火口を探します。落ち葉や枯れ枝に木の皮など、受講生の皆さんが自然の中で見つけたものに着火して試します。上手くいくもの、行かないものを学びブッシュククラフトを実地で検証しました。相馬さんの本でも紹介されているものもいくつかあります。シュロの皮やシュロの枯れ枝、筍の皮や枯れた竹など、どんぐり山にはナチュラルティンダーがいっぱいあります。どんぐり山では見つからなかったのですが、ブナの森によくあるサルオガセなども自然の火口と最適だそうです。どんぐり山で見つけた筍の皮に火をつけて喜ぶ相馬さんは少年時代に返ったようです。さらに枯れた竹には少し工夫が必要で、竹を割った後にナイフで縁を削りダストといわれる削りかすを作ってからそこに火をつけます。
さて、一連の実技の後はいよいよ火おこし検定の目玉となる実技試験です。実技の試験は地面の上20cmのところに張った麻紐を10分間で燃やし切るテストです。使える道具はナイフとファイヤースチールと風よけのみ、薪も2本だけ、シュロの火口も一握りだけと最小限のものだけでチャレンジします。
一斉にスタートをすると受講生の皆さん真剣にバトニングを開始してフェザーステックつくりに入ります。実はここがこの試験の肝でいかに早く確実にたくさんの小割の薪を用意し、燃えやすいフェザースティックが作れるかにあるようです。5分あたりで薪に火が付く人、まだまだバトニングをする人、すでにたくさんのフェザーステックを作る人と少し進行具合にばらつきが出てきます。上手く規定通りに麻紐を焼き切れた人と時間内でできなかった人とさまざまでしたが、実は麻紐を焼き切ることができなくてもこの試験は大丈夫なのです。相馬さんとブッシュクラフト協会のアシスタントさんがその過程を目視して技量を図っているからです。
緊張の実技試験が終わるころには日も傾き暗くなり始めました。実技もいよいよ終盤です。ブッシュクラフターのマナーとして地面で直接火をおこす直火で使うために作った火床をもとの状態に戻します。この時は少しの水と手で土を冷やしながら灰を土に混ぜ込み、熱を下げながら薪の燃えカスを取り除きつつ細かな灰と土だけにして混ぜ込みます。そして地表もできる限り火を使った痕跡を消します。こうすることで自然環境へのインパクトを減らしてブッシュクラフトを行なう場所をきれいにすることが大事なのです。
野外での実習が終わった後は講座の最終項目の筆記試験です。今日1日かけて習ったことがテストに出てきます。相馬さんが話したことと実技で行ったことが問題として出ます。きちんと話を聞いていれば大丈夫なのですが、受講生の皆さん、どうだったのでしょうか?合否は後日に日本ブッシュクラフト協会から通知が送られてくるそうです。受講された皆さんは結果を楽しみにお待ちください。
センターは朝から夕方までに渡りブッシュクラフトに浸る一日でした。あらためてナイフ1本あれば自然を感じながら自然を楽しむことができるブッシュクラフトの魅力にあふれていました。野外活動センターとしてブッシュクラフト人気が高まることを期待しています。(川村)
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