神奈川シニア自然大学校 入門コース 第9回~森の生き物観察
今日は、センターが共催で行っている、神奈川シニア自然大学校の入門コースの活動を行いました。テーマは、「森の生き物観察」です。
講師には、東京学芸大学 名誉教授の 北野日出男先生をお招きしました。
午前中は、講義を行いました。
自己紹介では、先生が生涯をかけて研究してこられた、アオムシコマユバチのお話から入りました。アオムシコマユバチは、モンシロチョウの幼虫に卵を産み付け、アオムシの体内で体液などを食べて成長する、とのこと。
アオムシを他のチョウのアオムシにすり替えると、タマゴは育たず、死んでしまうなど、種ごとに、卵を産み付ける種が決まっている、というお話が印象に残りました。
生物の分類のお話や、人間とショウジョウバエのDNAは同じ配列をしているため、おともだちであることなど、
目からウロコでした。
お昼休憩をはさんで、午後は、フィールドに出て、生き物探しです。
「このあたりに虫がいます。どこにいるか分かりますか?」と北野先生が問いかけると、皆さん頭をひねりながら「ここか?」と探します。
正解は、切り口が白くなっている竹の節の中にいるのです。
この白い切り口の正体は、竹の節の中で卵を産んだドロバチが、竹の切り口にフタをしたものなのです。節のすぐそばに産み付けた卵と、毒で麻酔をかけた芋虫(孵化した幼虫の餌)を一緒に閉じ込めた部屋が、節の中にあるそうです。この節の長さだと、2部屋くらい作っているそうです。
葉っぱにある丸い虫食いは、ハキリバチの仕業です。ハキリバチはクズの葉が大好きで、葉を台形に切った後、4重くらいに折り畳み、中に産み付けた卵と花の蜜と花粉を入れて、また畳み直します。他の虫食い跡とは、違いますね。
森や土の話についても解説がありました。
以前、ブログに書きましたが、ハイイロチョッキリの仕業である、どんぐりの
実と葉っぱ。先日書いた際には、なぜ卵を産んだ後に、葉を落としてしまうのか、疑問でしたが、答えが分かりました。
枝ごと落とすことで、実を黒くするタンニンの生成を抑えるため、だそうです。
ミズキの花の後ですね。真光寺方面へ行く途中の散策路に沢山落ちています。
この、葉っぱの後は、何かわかりますか?
こちらは、ハモグリバエの仕業だそうです。
上手に、一筆書きで、この迷路のような跡のどんづまりには、さなぎがいるそうです。(肉眼では見えません。)
ここには書ききれないほどの、自然の不思議が沢山ありました。
クズの葉をくるくる丸めたものを発見!その正体は・・・、イモムシでした。
実は、先日下見で回った際には、なんと、この中に、ハチのさなぎが入っていました。
そして、イモムシの糞も。
つまり、イモムシが育っていたところに、ハチが来て巣(居場所)をのっとり、
さなぎになっていた、というわけです。虫の世界も奥が深いです!
全てを解説しきれないのですが、自然の中は、発見がいっぱい。そこから広がる、「なぜ?なに?」がいっぱいで、みなさん、たくさん虫を探していらっしゃいました。
ヌルデの虫こぶもありました。
虫こぶ図鑑もあるそうです。
ということで、センター職員としては、今度、北野先生をお呼びして、このような観察会なども行えたら楽しいし、どんぐり山の自然再発見で面白いなぁと思いました。
もっともっと勉強しなければ!と思えた1日でした。(高柳)
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