目指せ 焼き芋職人
子どもの頃、リヤカーで焼きいもを売りに来るおじさんにあこがれ、焼きいも屋さんになりたいと思っていました。
私より若い人たちにとっての焼きいも屋のイメージは良くないようです。
軽トラックでスピーカーから「石や~きいも♪甘くておいしいおいもだよ~♪」とテープを流しながら売りに来る焼き芋いも屋さん。呼び止めて買うと1個500円もの高値を請求されたことはありませんか?
私のあこがれている焼きいも屋さんは、そんな焼きいも屋ではありません。リヤカーを引いて販売していた、昭和40年代の「職人の焼きいも屋さん」です。
窯に火を入れ石を焼き、おいもを投入。数分ごとにいもを回し、遠赤外線の力で中までじっくり焼いていく。焼き上がりは、匂いや見た目、触った感触等、職人の勘でおいもを取り出す。
子どもの頃、リヤカーから漏れる甘い香りに誘われて、小銭を握って買いに行くと、おじさんは焼きたてのおいしそうなおいもを3本選んでバネはかりに乗せ、「300円だよ。焼きすぎたいもがあるから、これおまけ。」といって、新聞紙の袋におまけのいもを追加して渡してくれました。おじさんの焼いたおいもは、蜜が出ていて、とっても甘くておいしかった。そして得した気分で嬉しかったことを思い出します。
こんなやり取りのあった時代の職人の焼きいも屋さん。今は見かけなくなってしまいました。
一度に30本ほどのおいもを焼くことができ、皮が香ばしく、おいしい焼きいもに焼きあがります。しかし、15分に1回おいもをひっくり返さないと、石に触れている部分が焦げてしまうため、誰かが付いて焼かなくてはいけません。職員がいる時はいいのですが、団体さんに貸し出しすると、せっかくのおいもを焦がしてしまう事があります。
そこで、次に作ったのが、大きな植木鉢を2つ重ね、針金で吊るしたいもを七輪の炭で焼く、つぼ焼きいも器です。つぼ焼きでは一度に20本ほどのいもを焼くことができます。つぼの反射熱により、中まで熱が通り、石焼きいもよりシットリ焼きあがる特徴があります。
この焼き方は、熱源からも距離があり、いもが直接つぼに触れないため、炭の量さえ間違えなければ、いもを焦がすことはありません。いもの大きさにもよりますが、約1時間放置しておけば美味しく焼きあがります。
つぼ焼きいも器の完成により、誰でもおいもを焦がさず焼けるようになりました。
私の焼きいも職人の魂が、おいもを焼くための道具2種を作り上げることになりました。
現在、石焼きいも器2台、つぼ焼きいも器2台を常備しています。
4台の焼きいも器をフル稼働させると、一度に100本もの おいもを焼くことが可能になりす。大人数のイベントでも活躍中です。
サツマイモは、掘って直ぐでは甘味が薄く、ホクホクした触感だそうですが、貯蔵によって、より甘くねっとり系に熟成するそうです。
はじめての方には、職員が、美味しく焼く方法をお伝えします。(野口)
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